なぜこれが課題なのか?

当社の当事者向け掲示板「TriHub」ユーザーからの投稿、
経産省、厚労省等の公開データを基に分析編集した課題実態です。

9.2兆円 2030年-年間経済損失

構造的変化が生み出した「新しい社会課題」

これまで家族内で解決できていた育児・介護が、なぜ今、企業の経営課題となったのか?
繋がっていく4つの社会構造変化が、働く世代を前例のない負担に追い込んでいます。

少子化による負担増

2000年には現役世代3.6人につき高齢者1人を負担する構造が、2025年現在では2人につき1人の高齢者を負担する構造に。一人当たりの責任が急激に上昇。

共働きの一般化

現在、共働き世帯が約7割。日中家庭内にケアを担う人がいないのが当たり前に。結果として仕事と同時に「ダブルケア」に対応していく必要性が発生。

高齢化と晩産化

親の介護の時期と、子育てが重なる「サンドイッチ・ダブルケア」が構造的に発生。働き盛りの世代に、二つの責任が同時にのしかかる可能性が急上昇。

伸び悩む所得と膨らむケア費用

介護にかかる月々の費用は大きく、日本人平均所得が伸び悩む中、高額な外部サービスの利用は困難を極め、結果家族だけでケアを負担せざるを得ない状況に。

数字が証明する深刻化する現実

29万人のダブルケアラーが、5年後には318万人へ。
社会構造の変化は、深刻な数字となって表れており、避けられない現実に。

29万人
現在のダブルケアラー人口
318万人予測 (2030年)
4.6時間
ケア関連の1日平均時間
休養時間は平日たったの2.2時間のみ
22.5%
数年内にダブルケアに直面予定
30-50代の約5人に1人が対象

年代別ダブルケア負担

30代
離職リスク: 高
40代
離職リスク: 深刻
50代
離職リスク: 高

社内中核世代である30後半-50代で離職リスクが深刻化

月およぼ10万円の重圧が家計を逼迫させる現実

ダブルケアの負担は時間だけではなく月約9.6万円という経済負担が、中核世代の家計を直撃。
「自分たちは何とか出来る」という理想と、中央値408万円の上がらない世帯年収では「実際には支えきれない」という現実のギャップが、従業員を知らぬ間に追い詰めます。

月額負担

約9.6万円 ダブルケア月額平均費用
育児関連費用 4.8万円
保育園・幼稚園費用 2.0万円
食費・生活用品 1.5万円
習い事・教育費 0.5万円
その他・医療費等 0.8万円
出典:内閣府「地方公共団体の保育料の状況」「子育て費用調査」等
在宅介護関連費用 4.8万円
介護サービス利用料 1.97万円
医療費・薬代 1.0万円
その他食費・雑費・交通費 1.03万円
介護用品費 0.8万円
出典:厚労省「介護保険事業状況報告」生命保険文化センター調査等

費用負担の現実

ターゲット層が想定する負担認識
32% 自身の世帯収入から
61% 親の年金・預貯金から

実際は約8割が親の医療・介護費用を世帯収入や預貯金から負担

家計への打撃

49% 「家計・経済状況」を最も不安視
31% ダブルケアへの備えを未実施

働き盛り世代の平均年収に対し、月9万円超の追加負担は家計を直撃

理想と現実の14.4ポイント差が示す職場の限界

家計の重圧を抱えながらも、職場では「普通に働く」ことを求められる従業員たち。
29%が既に離職を経験し、残った従業員も理想と現実の大きなギャップに苦しんでいます。

離職の実態

深刻
29% ダブルケアを理由とした離職経験者

離職理由トップ3

1位 職場や上司の理解が得られない
2位 時間不足、肉体的・精神的な疲弊
3位 外により良い環境がある期待

理想 vs 現実

大きな乖離
理想:バランス良く仕事と両立
42.4%
現実:バランス良く仕事と両立
28%
14.4ポイント のギャップ

支援体制の不備

不十分
時間のない中、縦割り制度で相談窓口も様式もバラバラ
支援につながるまでに時間がかかりそれまでに疲弊
上長や管理職の認識が不足しており理解が得られない
申し訳ないと思い頼れる周囲メンバーが不在

企業が気づかない「見えない離職」のメカニズム

従業員が限界を迎えているにも関わらず、なぜ企業は対策を打てないのか?
3つの構造的問題が、中核人材を知らぬ間に流出危機へと追い立てます。

「見えない」負担

企業の約4割が従業員のダブルケア状況を把握できておらず、退職の申し出で初めて知るケースが多数。

「知らない」制度

従業員の半数以上が、自社の支援制度の有無を「全く知らない」という事実。情報が当事者に届いていない。

「使えない」制度

最大の阻害要因は「同僚やチームに迷惑をかける」懸念(離職理由21.1%)

日本的組織文化の特徴である「利用しにくい雰囲気」が制度的障壁より深刻

世界最高水準であるはずの介護休業制度も、利用を恐れれば機能しない現実

なぜ、従来型アプローチは彼らに届かないのか?

疲弊した従業員に「膨大な選択肢」を探すことを強要する従来アプローチでは、解決ができない

リアクティブ(従来型)

問題:ベネフィット・ワンやリロクラブは「膨大な割引メニューをカタログのように提示」するデパートメントストア型

限界:既にダブルケアで疲弊している従業員に「さらなる認知的負担」を強いる構造

プロアクティブ(これから必要とされるもの)

解決策:定期チェックイン、ストレス変化、検索行動をトリガーとした「先回り型提案」

効果:「そろそろご両親の介護認定について情報収集を始めては?」といった具体的な次のステップを能動的に提示

なぜ、既存の福利厚生は彼らの問題を解決できないのか?

既存の福利厚生サービスには3つの構造的限界が存在している

情報の分断と認知的負担

汎用型福利厚生(ベネフィット・ワン/リロクラブ):育児支援と介護支援が別々のメニューとして提供され、両者の間で板挟みになる従業員の統合的ニーズに対応不可

専門特化の盲点

特化型SaaS(コドモン/カナミック):「育児」か「介護」の一方に特化し、時間の足りないサンドイッチ世代の統合的ニーズをカバーできず

事後対応の限界

従来型EAP:メンタル不調など「結果」への事後対応が中心で、複雑な手続きや情報収集といった「原因」は解決不可

法改正対応の専門性不足

既存サービスの限界:2025年改正法の複雑な要件(個別意向確認、公表義務、柔軟な働き方措置等)に対する選択肢を提供できれば良いというこれまでとは異なる実践的なガイダンスを提供できず、企業は法的リスクを抱えながら手探り状態

業界別危機度:広い範囲で高リスクな事態

この問題は全業界に影響しますが、特に「高スキル・高年収」の業界ほど深刻に。
中核人材の流出は、競争力そのものを大きく脅かします。

IT・テクノロジー

43 % 35-50代従業員比率
863 万円 1名あたり離職コスト
高いスキル依存性 人材獲得競争激化

金融・保険

43 % 35-50代従業員比率
1,131 万円 1名あたり離職コスト
規制業界での人材重要性 顧客関係の継続性

製造業

48 % 35-50代従業員比率
893 万円 1名あたり離職コスト
技能継承の重要性 安全性への影響

残された時間は5年以内:今がまさに対策すべきタイミング

2027年第2次ベビーブーム世代が50代に突入し、ここで、一気に社会問題として表面化の予測。
対策を講じるチャンスは、今からしかありません。

2023

課題の表面化

コロナ禍で在宅勤務が普及し、育児・介護負担が可視化

200万人がケア負担を実感
2025

法改正・団塊世代の後期高齢化

介護需要が急激に増加、働く世代への負担が本格化。
受け皿となる企業も「努力から義務」へと転換を迫られる。

250万人がダブルケアに直面
2027

第2次ベビーブーム世代が50代突入

ビジネスケアラーが急増する50代に突入する世代。
ダブルケアが一気に社会問題化する重大な転換点

ダブルケア自体が急増
2030

経営危機の顕在化

対策を怠った企業で大量離職が発生し競争力を失っていく事態に

318万人が社会課題の渦中へ

対策の猶予は残り

3~5

2030年までに対策を講じなければ、企業の人的資本は致命的な打撃を受けることになります